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 彼女たちは幻想卿で最も相手にしてはならない相手であった。

 ひとたび悪さをすれば彼女たちは風のように姿を現し、怒らせさえもすれば消滅も免れないだろうという噂が妖怪たちの間で流れている。

 それは畏怖、妖怪に親しまれ続けている彼女たちの裏の顔、逆鱗がわたしたちの恐怖心を捉えて放さないからだろう。故に幻想卿は常に静、何事もなく平和が続いている。

 平和、妖怪たちにとっての平和など此処にはない。彼らにとっての平和は自由に食人し、そして自由に世界を行き渡るということ。それこそが妖怪の本来あるべき姿であり、それこそが妖怪の生存競争の一つなのだから。

 偽りの平和。もともとの幻想卿はもっと殺伐とした、弱肉強食の世界。それが今では大結界など張られて人間世界に行くことすら困難になっているのだから、まったくもって不自由なことこの上ない。侵略者の人間を野放しにすることなど、できるはずがあろうか。

 これは誇り、強者として生まれもってきた者の力と本能が、彼女たちを討てと叫んでならない。だからわたしは行く、長き眠りに着いた幻想卿を再び起こすために。

 準備はした。後は時を待てばいいだけだし、必要であるコマを作ることも成功した。あとはそれに彼女たちが乗ってくるかどうかだったが、これはもう祈るほかない。

 おかしいものだ。妖怪がまさか祈るといった信仰的なことをするなんて、神がいれば怪訝に思うに違いない。

 が、わたしが祈っているのは神にではない。この世の全てに対して負を抱く、悪魔にだ。

 悪魔こそわたしが信じる唯一、本当の意味での妖怪に平和をもたらすものだと信じている。

 さぁ、コマは揃った。時も満ち始め全ては順調に進んでいる。

 見るがいい幻想卿の人間よ、崇めるがいい全ての妖怪たちよ。

 今ここに全ての幻想卿の平和を解き放ち、本当の幻想をこの世界に知らしめる時がきた。

 皆々殺しあえ、そして恐怖に打ちひしがれろ。そして自らの存在を鼓舞するがいい。

 これより、幻想魔卿の開幕だ――――――。
戻ります? 進みます?